1.自分にとって良い環境を作り出す
私は鳥取県出身の40代で、鳥取県にUターンして8年目です。
元々、鳥取県の田舎の農家に生まれますがテレビなどのメディアの仕事がしたいと思い上京。18歳から親元を離れ東京に行った際には「とにかく都会に住みたい」という一心でした。
信号も無いコンビニもない場所で生まれ、高校まで1時間も自電車を走らせなければいけない田舎で育った事から東京は憧れでした。
上京後は東京ドームのすぐそばのマンションに住居を構えます。当時は、満足いく生活でしたが、現在も同じ生活をしてくれと言われればかなり厳しいです。
地元に帰り様々な経験をした結果、行きついたのは自分にとって良い環境を作るということがいかに重要か。
今回は、私自身が経験した移住の成功と失敗を紹介します。
2.Uターンしてみて気付いた「ここにも仕事があった」ということ
そもそも上京したきっかけは地元に仕事が無いという事が理由でしたが、Uターン移住してみて仕事はそれなりにあるという事に気付きます。
さらに、移住したことで分かったのは、「仕事はつくれる」という新しい発見。
この項ではUターン移住のきっかけと移住後の仕事の探し方について紹介していきます。
2-1.移住のきっかけはマイナスな出来事
東京で私はテレビ関連の制作会社のプロデューサーとして働いていましたが、体調不良により休職。
実家で静養する事となったのです。
2-2.仕事は意外とあるもの!
実家に帰ると、約1ヶ月ほど、殆ど動けない状態になっていましたが、徐々に回復。
復職しようか、考えますが悩んでいました。
地元で就職相談会が行われるので試しに参加してみることに。18歳の頃に地元ではテレビなどのメディアの仕事が無いと思い上京していたので「地元には、そういう仕事はない」と思いつつも会場に向かいます。
そこで出会ったのが「とっとりふるさと定住機構」の相談員の方です。
2-3.移住は1人でやるものじゃない
相談会会場にいた「とっとりふるさと定住機構」の相談員の方に、自身の経歴を話すと思いもよらない言葉が返ってきます。
「いくつかの地元企業で、いままでの経歴が活かせる職場があるので、紹介しましょうか?」という言葉。
その後は、相談員の方に紹介される企業で面談をしたのですが、その際にも各企業の特色などを相談員さんからアドバイスされていたので、なんとなく会社の雰囲気は分かるので、比較的リラックスして面談に臨めました。
他にも、企業別に好まれる履歴書の書き方のアドバイスや移住する際や面接のための渡航費の補助金の申請方法など細かなところまでマンツーマンで付き添ってくれました。
相談会からわずか1ヶ月で移住後の就職先も決まるほど。移住を考えた場合には1人で考えるのではなく相談できる人を見つけておくことが重要だなと感じました。
3.移住者から移住アドバイザーに転身
Uターン移住してから1年後に、意外な誘いを受けます。「移住アドバイザーにならないか?」というものでした。
移住アドバイザーとは、移住を考える人に対して、相談会で相談に乗ったり、セミナーで自身の経験を語ったり、実際に移住してきた人をフォローするなどを行う人物で、鳥取県では各市町村が選出した人物を県が認定して初めてなれる存在です。
鳥取県だけでなく全国的にも取り入れている取り組みで、移住してきたからこそ分かる「当事者意識」を持った相談員といったところです。
私はこの依頼を快諾し鳥取県の移住アドバイザーとして、各相談会やセミナーに出席しています。
3-1.アドバイザーとして見えてきた移住するまでの壁
移住アドバイザーになり実際に移住を考える人が抱える不安が少しずつ見えてきました。特に自分の様に地元に帰るUターン移住ではなく知らない土地に移住するIターン移住の場合は、なかなか踏ん切りのつかない人が多いことが定説。
移住アドバイザーを5年続けたころに移住する人と躊躇する人では、明確な違いがあることに気付きました。
それは「憧れの未来が明確」「近親者の理解」「不安への保険」です。
「憧れの未来が明確」は自分がどの様な生活をしたいかがはっきりとしているという事。例えば農業をしたいのか、一般的な会社への就職を考えているかがはっきりしているだけで、どの様に地域へ移住すべきかが、見えてきます。
「近親者の理解」は家族がいる人は当然ですが、単身者も移住を考えていることを周囲に話した際の反応がマイナスな場合に断念する事が多いです。
「不安への保険」というのは、経済面と人間関係で担保されているかという事。移住後の仕事が決まっているのか、移住先に相談できる人はいるかなど生活にストレスが無いかという「安心感」がどの程度、確実になっているかという事も重要です。
反対に移住相談会に何度も参加してきても、移住に踏み切れない人の多くは「現状への不満」のみで移住を考えている人。
「今の仕事や場所から離れたい」だけでは「どこに行けば良い」かが見えていないので、一歩を踏み出す事が難しいです。
良いアドバイザーの見分け方とは
移住相談会などに出席された移住希望者の方であれば、相談相手によって「参考になった」と「ピンとこなかった」との差がはっきり分かれる事があると思います。
良い移住アドバイザーとそうでない人との差は、話し方や聞き方、人間性などもありますが、私が最も重要と考えるのは「他の地域のことをきちんと知っているのか?」というところです。
例えば、鳥取県の移住相談会は県内の19市町村が会場内にそれぞれブースを配置して、そこに訪れた移住希望者と面談を行うというもの。
自分の市や町の事ばかり話すアドバイザーは良いアドバイザーとは言えません。鳥取県だけでも海沿いの町や山中の町、企業の多い市など、地域に特性があります。
相談に来た移住希望者が何を求めていているかを把握できなければ、たとえ自身の市や町に移住してきても「こんなはずじゃなかった」とトラブルになることも。
移住を考えた際にアドバイザーと話をした際に他の市町村や県の事を聞いて答えられなければ、そのアドバイザーは自分の住んでいる地域の本当の特性を理解していないと言っても過言ではありません。
3-3.移住後に陥る問題点の多くは「お金」
移住を考えている人であれば、ある程度の事前知識があるので、分かると思いますが移住後に問題になる多くは「お金」にまつわる事です。
47都道府県別の年収ランキングで言えば、2017年に調査した数字ですが1位の東京都と47位の青森県では平均年収に約2倍の差があります。
首都圏や大都市圏から地方に移住を考える人は同じ職種でも年収が下がる事は、想定したほうが無難。さらに移住した際に自身の理想を追求しすぎるのも要注意です。
「田舎でオーガニックに拘った飲食店をやりたい」や「農業をしながらのんびりと生活したい」という考えは素晴らしいですが、あくまで基盤合って初めて実現できるもの。
飲食店の基本は売上ですし専業農家はのんびりと出来るものではありません。理想を追い求めた結果、うまくいかなかった人も1人や2人ではないのが現実。
まずは自身の生活費と移住後の収入を把握して少しずつ理想に近づいていくことが現実的ではないでしょうか。
4.移住しただけでは変わらないものもある
私の話に戻りますが、Uターン移住した頃は生まれ育った場所で生活し問題ない生活を送っていたと考えていました。しかし、移住しただけでは変わらないことも。
それは生活の質です。
Uターンし東京と同じ様な企業に就職した結果、同じ様な生活をしていたのです。朝は7時から会社に自主出勤し働き始め、定時で帰ることはなく、深夜まで働くことも。
確かに自然環境は増え少しは変わりましたが仕事量は東京の頃とほとんど変わらない生活を送っていました。
その結果、今までにないピンチが訪れます。
4-1.移住後に再び大病を経験
地元企業で大きな仕事を抱えた私は、東京にいたときと同じ様に朝から深夜まで働き詰めます。
体は疲弊し続けた結果「サプリメント」に頼る生活に。知人に紹介された元気になるサプリメントを飲み最初は驚くほど疲れが取れました。
しかし次第にサプリメント依存症となり接種量がどんどん増え続け、最終的には肝臓に疲労が蓄積し緊急入院する羽目になります。
4-2.入院生活で気付いたこの土地の良さ
入院中は、サプリメントが原因な為に投薬もできない状態に。
そこでとにかく食べて自力で体力を回復させて何とか退院します。改めて地元の食材と水の栄養価と水質の良さに気付いたのです。
4-3.環境こそが財産
そこから、地元の水の良さを調べる様になりました。
そして、現在の水環境を維持していくためには、農業や林業を中心とした「里地里山」と言われる整備された自然環境を守っていくことが重要であると考える様に。
私は自分が生きていく上で「この環境こそが財産」と考え、現在は仕事量をセーブし実家の農業を継承すべく勉強中です。
さらに農業をする際に現在のアパートから通うのは不便だと考えたことと、自宅でも細かな仕事が出来る様に実家の隣に新居を建築。
自分にとって無理なく仕事が出来る環境づくりをしています。
5.移住を考えている方へ
現在、移住を考えている方に伝えたいのは「自分にとって良い環境に身を置くける」を考えて移住先を探してほしいという事です。
移住相談会などに行くと、自分の市町村の自慢ばかりするアドバイザーがいますがその人にとって良い環境とあなたにとって良い環境は違います。
良い環境とは自分にとって何なのかを明確にする事が移住先を決める際には重要。
あなたにとって良い環境に移住する事が幸せな生活を送る一歩だと思います。