都会から地方に移住するまでの道のり、住居や仕事はどうする?|飯能に住もう!移住、起業の情報サイト|飯能Lチャンネル

都会から地方に移住するまでの道のり、住居や仕事はどうする?


都会から地方への移住

わたしが東京から長野県に移住して早いもので9年が経ちます。

わたしが住む村は、人口5000人程度の農業が主要産業の小さな村です。振り返ってみると、東京生まれ東京育ちのわたしが30代半ばで決心した移住後の暮らしは端的に言えば「充実」の一言です。

わたしの場合、2011年の起きた東北での大震災、福島での原発事故がきっかけとなり、東京に住んでいること、そしてサラリーマン生活そのものに何となく疑問を持ち、勢いにまかせて移住してしまいました。

もともと田舎暮らしに対してぼんやりとした憧れがあったとは思います。もしかしたら何かのきっかけを待っていたのかも知れません。

10年前の震災とそれに続く原発事故はわたしたちに大きなインパクトを与えました。特に多くの人たちが環境問題に関心を持つようになる一つの大きなきっかけになったと思います。

そういった中で、東京から比較的近く、早くから移住者の多い地域だった長野周辺を訪れ、自然農法のワークショップに参加したりしながら、半年ぐらい経つと自然と知り合いができていきました。

そんな風に実際に長野で過ごす時間は増えていき、少しずつ移住ということが絵空事ではなく、現実的なものとして感じられるようになっていきました。

そこで、移住を実現していくために、長野県の中にあるいくつかの移住候補地に実際に足を運び、役場を訪ね、空き家を何軒もまわり、最終的に一軒の空き家と良いご縁があり、結果として移住が決まり今に至ります。

移住先を選んだ理由

最終的に移住先としてその場所を選んだ理由を挙げると、こういった点になります。
 

①家の後ろが山で静かなこと
②車道から離れていて、お隣さんも少なく、プライバシーが保たれている
③庭が広い (BBQが気兼ねなくできます!)
④水道水が何よりおいしい
⑤手頃な家賃
⑥街まで車で30分程度とそこまで遠くない。



わたしの場合、最終的な移住の決断を後押ししてくれたのはあくまで「住み心地の良さ」で、お金に関しては貯蓄が少しあったとは言え、移住を決めた瞬間は仕事については何も決まっていませんでした。

ただ、水が美味しい、空気が美味しい、ストレスがない、家賃が安いというような、暮らしに最低限必要なものの質が高く、「この環境ならじっくり新しく生活をスタートさせられる」という覚悟を持つことができたのが大きかったと思います。 昨年来のコロナ禍は私たちの多くは日々の暮らしの中で少し立ち止まり、自分の仕事やライフスタイルについて考えるきっかけとなっています。人口が密集している都会に住む人たちは特にそう言った変化を強く感じているのではないでしょうか?

今都会に住んでいて、移住に興味があってもどうしたらいいかわからない、もしくはすでに情報収集をしていろいろな下調べを続け、移住したい気持ちが強いが、仕事のことを考えるとなかなか決断ができない、というような方もいらっしゃるかもしれません。

そういった方に、自分の経験を振り返って思う”移住を決める時のアドバイス”を挙げるとすると、以下の3つになると思います。
  • ・ネットや雑誌の情報に加え、実際に足を運んで現地に友人を作る。
  • ・”質素でも、質の高い暮らし”に満足できそうな場所か?
  • ・気持ち、勢いも大切。家も仕事もお金も全ての理想が揃うのを待っていたら決断は難しい。

移住に興味を持っている方の多くは、「平穏な暮らし」を求めていることでしょう。確かに田舎にはそういった環境があります。ですが、移住を検討していく過程で仕事やお金、家族のことなど考えなければいけないことがいろんな方向から押し寄せてきます。

そうすると、どうしても一番大事だと思っていた「平穏な暮らし」という根本の理想から離れて、あれもこれもすべて万全に整えてから移住したいと考えてしまいます。

しかし、それらのことのをすべて完璧に確保してから移住をするのはとても難しいことです。

100点の準備でなくても、70点、80点で移住を決断していいと思います。大事なのはその場所で「新しい生活を始めたい」と思えるか、その覚悟を持てるかです。

移住の情報収集を進めるうちに自分にとって一番大事だったはずの「平穏な暮らし」というシンプルな理想を忘れないようにしてください。

やれることをやって、覚悟ができたらあとは気持ちと勢いです。そして移住先に友人がいたら、その人に相談をすればきっとあなたの背中を押してくれるでしょう。

仕事はどうする?

さて、ここからは地方への移住を考えるときにおそらく1番の懸念材料となる仕事についてお話ししたいと思います。簡潔に言ってしまうと、答えは「選ばなければ地方には仕事はある」です。

今の日本において地方が抱える最大の悩みは”人がいないこと”です。少子高齢化の進む日本の中でも地方はそれが顕著です。ですので、実際に移住してみると、意外といろんなところから結構仕事を頼まれます。特に若い人だと、かなり重宝されると思います。

わたしの場合、移住してからまず始めたのは中華料理屋さんでのアルバイトです。次はその仕事をしているうちに、村から河川敷の草刈り、木の伐採の仕事を依頼されました。

わたしは外仕事が好きなので、とても楽しかったです。すると、次に村から来た依頼は村にある山の登山道整備の仕事でした。草刈機を持って数ヶ月かけて新しい登山道を開通させました。

その後も近所の農家の方からお仕事を頂いたりと、ポツポツ仕事をしながら自分の時間と仕事のいいバランスができて来て、今では自分の特技である写真撮影と記事執筆のスキルを活かしてメデイア関係の仕事をリモートでしています。

地方移住の仕事に関するわたしのアドバイスは「ゆるーく仕事をしながら移住をスタートする」ということです。まずはアルバイトをするのもいいと思います。

生活費のあまりかからない田舎暮らしの利点を生かして、まずは簡単なアルバイトなどで最低限の生活費を確保しながら、アンテナを張り、いろんな人に会って徐々に自分がやりたい仕事を見つけていくのは無理がありません。

また、最近のリモートワークの普及は地方移住をどんどん有利なものにしています。リモートワークの普及は明らかに田舎に暮らす人間にとって大きなメリットです。

わたしの場合、過去8年事務作業は全てリモートワークで、観光ガイドとして仕事をするときは移動する、という生活を続けてきました。

生活費は安いのに、仕事はきちんとあり、お給料も都会にいた時と同じように入ってくるので、生活は楽になっていきました。しかも生活環境が良いので、ストレスがない。

リモートワークの普及はこれからも加速していき、地方に住むメリットは増えていくことでしょう。

地方移住の家探し

さて、次に地方移住の家探しについてお話ししたいと思います。
地方移住への準備、計画を進める中で家探しは最もワクワクする作業です。田舎はとにかく都会に比べ家のスペースが広いので、きっと驚かれると思います。

部屋数も多い、庭付きの家も多いので、この部屋はどう使おうかとか、ここは趣味の部屋にしようとか、家庭菜園もやってみたいなとか、どんどん妄想が湧いて来ます。

今、日本全体では空き家が増えており、特に田舎はものすごく空き家が目立ちます。ですので、まずはそういった空き家物件を借りる、改修して住む、というのをお勧めします。

何しろ、空き家は絶対的に数が多いからです。こういった空き家は築50年以上経ったかなり古いものから、15年程度の比較的まだ新しいもの、家の状態も実に様々で、傾いていたり、屋根の修復が必要だったりと千差万別です。

いい意味で言えば、空き家はそれぞれの物件に個性があり、そういった空き家物件を見て回るのは、それだけでなかなか面白いものです。

ではそういった空き家をどうやって見つけるかというと、一番良い方法は空き家バンクの制度を利用することです。この制度は国内の各市町村の多くが行っているもので、誰かに貸し出す意思のある空き家の家主が、役場にその空き家を登録し、情報を公開するというものです。

最近では多くの市町村がホームページ上で登録されている空き家の情報を公開していますので、是非一度見てみてください。移住に興味があるのであれば、その情報を見るだけで、空き家の部屋数、広さ、状態、相場などがだんだん見えてくると思います。

わたしも移住するときは空き家バンク制度を利用しました。ネットで気になる物件を見つけ、役場に相談したところ、数件の空き家を車で案内してくださりました。

田舎は多くの人に移住してもらって、人口を維持したいと考えてますので、結構親身になっていろいろ相談に乗ってくれました。その後、役場の人の立ち合いで大家さんに会って、すんなり話が進みました。

空き家の相場ですが、これは本当にピンからキリまであるので一概には言えないですが、ある程度の田舎で月1万円から5万円程度といったところでしょうか。

ただ、最近は移住者の増加に伴って地域によっては空き家賃貸の相場も上がってきているように感じます。

地方移住への様々な制度

さて、ここまで地方移住における仕事と家探しについてお話ししてきましたが、次に地方移住における様々な補助制度についてお話ししたいと思います。

現在地方自治体の多くが抱えている悩みの種は人口減と高齢化です。ですので、地方自治体は押し並べて移住者と企業の誘致に積極的で、様々な補助制度が用意されています。

例えばわたしが住む村では移住者が空き家を借りる際に、改修費用、片付け費用などに最大で100万円の補助が出ます。わたしの場合は、まずトイレを汲み取り式からウオッシュレットの水洗にトイレにしてもらいました。そして、風呂の修理と新たに下水道を開設しました。

また、例えば新たに農業を始めようとする人への土地、農業機械、ノウハウの提供、または資金援助などもよく見られる制度ですし、同じようなサポートが漁業や林業、伝統工芸などの分野でも見られます。

ですので、移住を機にサラリーマン生活から手に仕事を持って自分で生活をしていくことを目指すのであれば、ゼロから始めなくともいいように様々なサポート体制が用意されています。

また、今は何の仕事をしたいか決めてないけど、まずとにかく移住したいという人にうってつけなのが「地域おこし協力隊」の制度です。これは国の制度で、都会から特に人口減少の激しい地域に1年から3年の間で、その地域の発展に貢献するような仕事を支援する制度です。

この制度に手を挙げた人は、面接などを通過したのちに、採用された市町村から家も用意され、きちんとお給料をもらいながら、仕事をします。そういった人たちの多くは観光を盛り上げるプロジェクトをしている方たち多いですが、中には地域特産の農産物を加工して商品化したり、アートプロジェクトを立ち上げたりなど、それぞれが好きなことにチャレンジしています。

わたしはこれまでかなり多くの地域おこし協力隊の人たちに会ってきましたが、みな楽しそうに仕事をしてますし、すごくうまく機能している制度だと思います。この制度を利用する人たち、地方自治体はどんどん増えていて、日本中に広がっています。

協力隊の任務が終わった後は、そこに住み続けるかどうかは自分で決めれます。ですので、1年から3年のうちにじっくりと田舎暮らしが自分に合うかを見極め、その後の身の振りかたを決めることができます。

この制度に関心があれば、ぜひウエブサイトなどを見てみてはいかがでしょうか?