関西の都市部から山陰へ。子どもが育つ環境として移住は?|飯能に住もう!移住、起業の情報サイト|飯能Lチャンネル

関西の都市部から山陰へ。子どもが育つ環境として移住は?

関西の都市部から山陰のとある町へ、子どもと共に移住してきた体験談。前回は、都会とは違う田舎のお仕事事情、働き方、仕事の見つけ方、保活など、安心して移住するために必要な事前準備をメインにお届けしました。

では、実際子どもが育つ環境としてはどうかな?と気になる人も多いかと思います。ここからは、私が実際に田舎で子育てをして感じていることを中心にお届けします。

都会と田舎、子どもが育つ環境を見て感じたこと


都市部と田舎の両方で子育てをした結果、それぞれのいい点、そして今感じる注意点をここからは綴っていきます。
 

職住近接の安心感は想像以上に大きいメリット

移住前、関西でも子どもを保育園に預けながら仕事をしていた私。出産するまでは、電車通勤で家から職場まで40分かけて通勤していました。出産後、再就職するにあたり大きく気になったのが、何かあった際に保育園にすぐにたどり着くか、という点。

というのも災害が多発しており、さらに南海トラフ地震もそう遠くない時期に必ず起こるとよく報道されていた時期でした。
40分の通勤時間は致し方ありませんが、電車通勤となると台風、地震などで電車は運休となってしまいます。
そうなると職場に行ったはいいが、帰ってこられないという事態になる可能性も大きく、子どもはどうする!?というのが大きな不安でした。

しかし、移住後は家から職場までマイカーで15分。もし何かあっても、すぐ子どもの元に駆けつけられるという安心感は思っていた以上に大きいです。
最悪、車が使えない場合でも歩いて2時間程度で帰ることができるという目途がついているのは親子ともに安心です。
 

”魚の解体”本物を間近で見ることは圧倒的な体験!


普段から自然と触れ合うよう心掛けている訳ではありませんが、私が暮らす地方は、海や畑、田んぼがすぐ近くにある環境のため、子どもにとっては毎日が発見の連続のようです。

保育園では魚屋さんが来てブリの解体を見せてくれ、それを給食でいただいたことも。大人からすれば当たり前ですが、魚にも血があり、骨があり、人間と同様に生き物であることを目の当たりにした様子。

「イナダ→ワラサ→ブリって名前が変わるんだよ~」と出世魚であることも学んで来ていました。
普段園の様子はあまり話してくれませんでしたが、このことは自ら教えてくれたのでよっぽど興味深く、インパクトある体験だったようです。

また、近所の魚市場で水揚げされたばかりの魚、60㎝ほどありそうな大きなブリの口の中には、小さな魚が詰まっていました。
小魚をブリが食べ、そのブリを私たち人間がいただく。魚が魚を食べているという事実は、小さな子どもにとっては大きな発見で、じーっとブリの口を眺めていました。

”食物連鎖”というと難しいですが、そうした日常の風景から命の大切さを学ぶ機会はグンと増えました。

 

普段の買い物、食卓が食育の場に


近所に魚市場があるので、週末はそこで魚を丸ごと1匹購入し、下処理までしてもらいます。
種類も豊富で、何より新鮮なので本当に美味しい!都市部のスーパーだとどうしても陳列されているのは切り身がメインです。
このように1匹丸々並ぶ水揚げされた魚達は、さながら水族館のよう!子どもも大興奮です。

また、地元の産直市場もそこら中にあり、値段も破格です。
ちなみにこの写真は、たけのこ(面倒な下ゆでまでしてくれています!)、こごみ、ふき、干しシイタケと春の味覚を中心に購入しましたが、何と800円程。「〇〇町の〇〇さんが栽培」と表示されており、安心して買えるのも嬉しいです。


ちなみにこの干しシイタケ、もちろん国産の原木しいたけ。
ぱりっと乾燥した干しシイタケですが、我が家の自家製ぬか床に入れると、いい感じに水分を吸ってふっくらと瑞々しいしいたけに変化します。
この変化も子どもにとっては面白いようで、まるでマジックみたい!と興味津々!



我が子はこのぬか漬けが好きで、一緒に色んな食材を漬けてみては、まるで実験のように楽しんでいます。
切って置いておくと、小腹が空くとボリボリと食べています。毎日少しづつ違うぬか床の様子を気にしていたので、乳酸菌や発酵の話をしてみました。

今はおそらく、よく分かっていないかもしれません。しかしこの実体験と今後学校での学びが、いずれ繋がる日がくるはず。
このことに限らず「子どもの頃に、見たことあるなー」という、実体験はたくさんさせてあげたいと考えています。

美味しくいただける上、おのずと「食育」にもなっており、一石二鳥です。

 

やっぱり食べ物が新鮮で美味しいのが、最高の贅沢

魚、お野菜など旬の食材を新鮮な状態でいただけるのが、田舎生活のいいところです。
ですので、調理法は至ってシンプル。魚であれば、お刺身、もしくは焼く、蒸すがメイン。
野菜も、適当に切ってグリルでこちらも焼いたり、蒸したり。塩を振ってオリーブオイルをかけたり、醤油をたらしたりと各々好きな味付けでいただいています。

食材が新鮮で安心なので、凝った調理法をしなくても十分美味しくいただけます。
仕事から帰ってもきてもさっと作れる手間いらずの料理は、まさにこのような上質な食材に支えられているからこそ。

冬場だと、鍋に定番の白菜。
我が家では、生のままの白菜をざく切りにし、お醤油、もしくはバルサミコ酢にオリーブオイルを回しかけ、かつお節をトッピングしたサラダが定番です。
白菜の甘さと瑞々しさで、ばくばくとアッという間に無くなってしまいます。

子どもの味覚はとても正直です。凝った料理より、案外こういったシンプルな調理法の方がよく食べる様に思います。

 

気になる教育事情。教育格差があるのは事実



そして最後に気になる教育事情です。
田舎に移住するとのびのび暮らせるというイメージを抱きがちですが、一方、教育レベルや成長に従って受験も気になるという人も多いはず。

田舎での教育について感じたことを綴っていきます。

実業高校へ進むか、進学校へ進むか、その選択が将来を大きく分ける


我が子は今小学生なので、まずは小学校事情から。
私が住む地方には、小中高共に公立校しかありません。そうなると、「中学受験」はまずありませんし、そもそも中学受験という概念がありません。

という訳で、小学生の内から塾に通っている子はほぼ皆無なのではないでしょうか。

中学校までは、住んでいる場所で校区分けされた学校に進むので、進学や将来設計について親子共にしっかり考える機会はあまりないかもしれません。

ただ田舎において人生の大きな境目となるのが、高校の選択だと感じます。
都市部だとそれこそ公立私立、様々なレベルの学校がたくさんあり、その中から自分に合った学校を選んでいき、そこからまた大学、専門学校に進学、もしくは就職と多様な選択肢が広がっています。

私の住む地方では、高校となると公立の進学校もしくは実業高校へという大きく分けると2択の選択肢になります。
都市部と比較するとぐっと選択肢は狭まることに。ちなみに私立高校もありますが、あくまで公立高校の滑り止めという都市部とは逆の立ち位置となっています。

実際、実業高校に進む子どもは、卒業後は地元の民間企業での就職がメインコースとなります。
役所や銀行といった職種は、大学を卒業してUターンする人達の就職先となっており、高卒と大卒の働く場所が明確に分かれている印象があります。

これは田舎に限った話ではありませんが、「やりたいことがないから、とりあえず勉強しておこう」と思うのか、「やりたいことがないから勉強しない」のか。
都市部だと、やりたいことを見つけたとき、レベルに合った学校などを見つければリカバーすることは可能です。

しかし、田舎だと近くにそのような学校もなく、情報もなかなか得られにくい。
となると、”諦め”の境地に至りがちなように周りを見ていても感じます。ですので、将来の可能性や選択肢を広げてあげるためにも、学ぶことへの動機付けや、なぜ学ぶのかという点はしっかり家庭で共有する必要が都市部以上にあると思います。

 

多様な生き方の選択肢があることを知る機会を増やしたい

都会に住んでいると、会社勤めの人、派遣、起業した人、フリーランスなど様々な働き方や生き方をしている人が多くいることが実感できます。また、職種も同様に様々。

しかし田舎にずっと住んでいると、その地方にある職業、雇用形態しか見えません。
今はインターネットで情報を取ること自体は容易い時代になりましたが、そもそも知らないことは検索できません。

もちろん、高校で将来のことについてしっかりと考えますが、先ほど述べたようにどの高校に入るかである程度進むコースが定まるのが事実。
その前に、世界には様々な職業があり、生き方があることを示してあげる機会があればいいのになと思います。

 

まとめ

これからの時代、ますます生き方や働き方は多様化するはず。
2拠点生活もあり、好きなを色々掛け合わせて働くのも主流になってくるように感じます。小学校や中学校などなるべく早い段階での、いわゆるキャリア教育は田舎の方が必要な気がします。

これは家庭でもできることなのです。普段の会話から働くこと、そしてそのためにはどんな勉強をし、どんな学校へ行く必要があるのか話をすること。
少し先を生きた親がしてあげられることはしてあげたいと思っています。